【INTERVIEW】鈴木翔子さん・山田詩織さんin池袋西武オンライントークイベント(MC:稲川雅也)【前編】

一般社団法人LIFE IS ROSEと西武池袋本店のコラボ企画『五感で旅する世界旅行』オンライントークイベントより、着物屋「SHITO HISAYO」鈴木翔子さん、山田詩織さんのインタビュー【前編】をお送りします。MCは稲川雅也さんが務めました。

稲川:お二人には「SHITO HISAYO」という着物屋さんから来ていただきましたが、そもそも「SHITO HISAYO」は何でしょうか?

鈴木:「SHITO HISAYO」とはデザイナーの名前でして、お着物から帯から小物全てに至るまで、すべて紫藤尚世という一人の指導者・デザイナーが作っています。ブランドができてもう40年以上になるんですけれども、紫藤尚世一代で築き上げてきました。

ブランドにはどんな特徴がありますか?

鈴木:大きく3つの特徴がありまして。まず1つ目は、着物って常識的には普通一反(約11メートル)から一つの着物ができるのが常識なんですけど、「SHITO HISAYO」のお着物は、いくつもの布を組み合わせて縫い合わせて作っています。

2つ目は、着物と同じ柄を帯に挟むという+αのおしゃれの提案があるのですが、こういった遊び心は一般的なお着物にはありません。100年以上の歴史がある中で、その伝統を崩しすぎず、でもおしゃれに楽しもうよ!っていう提案を初めてしたのが紫藤尚世先生だと思います。

そして3つ目の特徴が、お鈴がブランドサインで付いています。この鈴が、着物・帯・下駄などいろんな小物にも全部に付いてるんですけど、これも伝統的な着物の考え方からすると、着物に金物を付けるなんて絶対タブー。鈴を付け始めた頃はいろんなことを言われたみたいですが…ブランドサインとしてポイントになっています。なので、お着物のアクセサリーとしての提案でもあるし、あとは鈴って日本ではすごく縁起の良いモチーフなんですよね。神様を呼ぶための道具で、悪いものをはね除けて良いものを引き寄せる。そんな日本の縁起の良いモチーフを、着物に宿しているのが特徴です、本当は100くらい語りたいんですけど…普通の着物屋さんでは、これまでしてこなかったことをやってのけたのが「SHITO HISAYO」です。

純粋に疑問なんですけど、多くの着物さんが”決まった型”に追従しなければいけなかった理由っていうのは、やっぱり風当たりみたいなところがあるのでしょうか?

鈴木:これは諸説あると思うんですけれども、代々着物屋さんをやっていた方々って、だいたい男性なんですよね。なので、着る人の気持ちがわからなかったり、あるいは商売ベースだったり、そういった中でおしゃれに着こなすとか、「こういうのが着たい!」「着易くしたい!」「あれが欲しいな!」が起点の商品開発じゃなかったのかもしれません。自分が欲しいものをデザインして形にしたら着物屋さんになっちゃった。っていうのが「SHITO HISAYO」なので、一般的な着物屋さんと発想が逆なんだと思います。

SHITO HISAYO店長・鈴木翔子さん

山田:あと一点付け加えると、「SHITO HISAYO」はトータルコーディネートができるというのも特徴の一つです。着物以外にも、帯揚げ、帯締めだったり、履物に至るまで全部一人のデザイナーが1貫してデザインしてるので、最高の自分を作り上げるための完璧なコーディネートが仕上がるんです。例えば通常、帯は帯屋さんだったり、その専門の人たちがいる中で、「SHITO HISAYO」は全部に精通して手掛けているのも特徴の一つです。

続いて、みなさんが着物屋になったきっかけについてお伺いしたいと思います。まだまだお若いとはあると思うんですけれども、お二人が何故ここまで着物に没頭しているのか、着物屋で働いているのかというところが気になりました。

鈴木:着物屋になったつもりはなくて。私は多分「SHITO HISAYO」に出会ってなければ着物屋になってないですね。まず私はファッションが大好きで、服飾専門学校に通っていました。お洋服大好きなんですけど、そこで何かをやりたいという夢がなかなか持てず…そんな中で、本当にたまたま夕方のニュースで紫藤尚世先生の特集が組まれていたんです。そのテレビに映った着物のデザインに衝撃を受けて、”ビビビ!!”って来ました。何も着物のことを知らないのに「私、この人に弟子入する!」って決めたんです。先生には「来てみれば〜?」って言われて(笑)そこから修行が始まりました。大変でしたよ…だって「◯◯を持って来て」って言われても知識がないから何が何だか分からない。全然違うものを持って怒られて迷惑かけていました。なので私、着物が全然分からない人の気持ちが分かるんです。それは私の良いところかなと思っています。

山田さんはいかがですか?

山田:私のきっかけはインターネットでしたね。それも着物について調べてた訳じゃなくて、ただのネットサーフィンをしていて、偶然たどり着いたのが先生のホームページですね。ホームページにたどり着いたその時に”ビビビ!!”っと来ましたね。ただ私はそこからすぐには行動してないんですよ。「こんな着物あるんだ!」っていう衝撃が走ったのを覚えていて、そこから数年経つんです。

就職活動を始めた時に、「自分は何で勝負できるだろう?」みたいなものが何も無かったんですよ。すごく悩んでる時に、何故か着物屋さんのことをパッと思い出して、それから初めてお店に遊びに行ったのがファーストコンタクトでした。実際に見てみないと分からないなと思って遊びに行ったのが初めで、その先に店長(鈴木さん)に会ってるんですよ。店長に接客して頂いて、その時からもう既に熱がすごかったです!着物の事を説明してくれて、愛を語ってくれて。こういう想いで仕事ができるっていいなって憧れたのを覚えてます。その次に行くときには履歴書を持って行ってましたね。だから私は紫藤尚世先生と鈴木店長に憧れて入ったみたいなところはありますね。

SHITO HISAYOチーフ・山田詩織さん

そんな若いお二人をここまで夢中にさせる着物の魅力を、今回はじめて知る皆さんに向けて是非伝えてほしいです。

鈴木:もうこれは一言に尽きすね。「日本人で生まれたので、着物は一番自分が素敵に見えるファッションです!」”自分史上最強”を知らないで死んじゃうのかい?勿体なくてしょうがない!だから私は被害者を救うつもりでいつもお店に立っています(笑)そこから先、それを購入してライフスタイルに取り入れる・取り入れないはまた別の話として、いつかは自分の着物姿をちゃんと見せてあげたい。そのきっかけから離れれば離れるほど、非日常になればなるほど、自分に似合う着物が分からなくなっていくんです。

例えば成人式の日に、お母さんに選んでもらった着物をレンタルして、それが自分の好きじゃない色だったり。成人式だからって言って普段しないようなメイクをされて、普段しないような頭にされて、苦しくて…っていう思い出で着物から離れてしまうのはすごく勿体なくて。かっこいい着物を普段のファッションとして、自分の好きなメイクで着れることを提案して差し上げられるので、そういった意味での着物の概念も伝えていきたいです。

ゲストプロフィール:
鈴木翔子(SHITO HISAYO店長・写真右)
右も左もわからぬまま紫藤尚世に弟子入りして十数年…絶賛修行中◎
師紫藤尚世直伝のファッション着付け研究中◎着物に生涯を捧げる着物バカ。

山田詩織さん(SHITO HISAYO チーフ・写真左)
着物のきの字も知らない、着物に全く興味のなかった大学生が偶然インターネットで紫藤尚世の着物のデザインをみてそのデザイン性に魅了される。そのままSHITO HISAYOショップへ飛び込み着物修行がスタート。

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