一般社団法人LIFE IS ROSEと西武池袋本店のコラボ企画『五感で旅する世界旅行』オンライントークイベントより、リーマントラベラー・東松寛文さんのインタビュー【後編】をお送りします。

―東松くんが出している書籍のなかで「休み方について」の話がすごく印象的でした。
東松:「働き方改革」という言葉って、どちらかと会社側の理論だと思うんですね。どちらかと言うと「働かせ方改革」というか。僕ら従業員の立場だと、働き方って自分で変えられないんです。ルールが会社側で決まっちゃうと、僕らの気持ちとかマインドは一切変わらない。自分の人生を充実するために「働き方改革」をするとなった場合には、どうしても「働き方」を変えられないなら、自分で変えられる範囲の「休み方」から変えていくことで、人生を充実させることができる。僕がよく言っているのは”仕事中心の人生”じゃなくて”自分中心の人生”になるという事ですね。従業員側の立場として「自分と会社の主従関係というのをある意味逆転させて、自分の人生を歩めるようにしてくれたらいいな」という改革をご提案しています。
―まさに「休み方」の使い方としての選択肢が”世界1周”だったわけですね。
東松:そうです。分かりやすく言うと、会社側の理論からすると、土日の休みというのは土曜日から日曜日ですよね。ただ従業員の立場からすると、土日の休みというのは、金曜日の仕事が終わった瞬間から月曜日の仕事が始まるまでなんです。だから何も考えずに休もうと思うと、休みは”48時間”だけど、僕みたいに考えると”64時間”になる。会社から言われたことをそのまま受けるんじゃなくて、自分の中で「自分の人生で一番ベストな方法は何かな?」っていうのはちゃんと考えるようにして、どんどん休みというものを充実させています。

東松:会社のルールの中で土日で海外旅行を充実させようと思うとなかなか難しいけど、自分の中で「絶対に金曜日の定時に仕事を終わらせるんだ!」という強い気持ちを持てば、金曜夜から出発できるわけで。そうやってどんどん会社中心から自分中心にしてやっていくことで、「働き方」を「休み方」を変えたことで変えられたんです。
昔だったら月曜日朝提出の仕事があったりすと、金曜日に残業したり、土日も使って徹夜したりして、月曜までに完璧な資料をつくることがベストだったんですけど。旅行に行くようになって、金曜定時で仕事を終わらせるために木曜・水曜からちゃんと準備したりとか、仕事の〆切を自分で決め直したことで、どんどん仕事の効率も上がっていくんです。それで実際に起こったことは、金曜定時に終わらせた仕事と、月曜のギリギリまで引っ張った仕事って変わらないんですよ。そんな風に「旅」というひとつの自分の軸を作ったことで、自分の中で使える時間がどんどん増えていきます。
―なるほど。〆切りを取り戻したんですね。
東松:やってみて実感したんですけど、与えられた〆切より、自分で決めた〆切のほうが守るんです。特に企業に属していると、自分で決められることって少ない。でもその中でもう決め直すことは可能なので、決め直すだけでも自分のやる気とか効率がすごい上がるので、そんな風に自分のできる範囲の中から自分の人生を変えていくっていうのが全然できるなと思います。
―東松くんが会社員をしながらそれに気づいたっていうのはすごいなと思って。「休み方」のことって割とフリーランスが気づくことなんですよ。
東松:おお、なるほど!
―先輩フリーランスになればなるほど、「働き方」において何に気を付けているかというと、最初に「休み方」を全部決めちゃうんです。それがいわゆる会社員の人たちにとっての土日みたいな休日になる。それが決まらないと本当に就業規則なんてないので徹夜してもいいし、何をやったっていいけど、これが意外とうまくいかない。自由があってもうまくいかないんですよね。なので”ルールがある中で自分で決める”というのに辿り着いたのは凄いことですよね。
東松:逆に言えば、自分で決めるのって結構しんどいじゃないですか、会社にはルールあるので。決め直す事自体は、ルールが逸脱するわけではないで、別に大した決定じゃないんです。ただ単純にスケジュールを前倒しだっただけ。でもそのちょっと時間の使い方を、気づけたのが大きいですね。
―最後のご質問です。東松くんの“バラ色の人生”ってどんな人生でしょう。
東松:旅に行きまくれたら“バラ色の人生”かと言われると、そうではなくて。僕に関わってくださる方たちが、いろいろな選択肢を持って生きられるようになるのが僕はベストだと思っています。僕は世界に旅して、いろいろな生き方の選択肢があることに気づいたんですけど、それをどんどん伝えていって、たくさんの人が選択肢を持った生き方、その中で選んでいくという事ができるような世界をつくっていきたい。それが実現できたら、僕にとっての“バラ色の人生”じゃないかなと思います。

ゲストプロフィール:
東松寛文(リーマントラベラー)
1987年岐阜県生まれ。平日は広告代理店で働く傍ら、週末で世界中を旅する”リーマントラベラー”。70カ国159都市に渡航。2016年、3ヶ月で世界一周を達成。地球の歩き方から旅のプロに選ばれる。著書『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』『休み方改革』など。