【INTERVIEW】本間正人さんin池袋西武オンライントークイベント(MC:上野俊介さん)【中編】

一般社団法人LIFE IS ROSEと西武池袋本店のコラボ企画『五感で旅する世界旅行』オンライントークイベントより、本間正人さんのインタビュー【中編】をお送りします。MCは上野俊介さんが務めました。

本間:(日本の教育問題に問題意識をもち、行動される原動力について)それからもう1つ。例えば教育改革というのはどの政権も言っていますよね。内閣総理大臣が変わるたびに『教育改革が大事!』ってみんな言うんだけど、だいたい時代遅れのことを言ってるんです。これはどういう事かと言うと、いま教育を受けている当事者の高校生・大学生は、学校でのことしか分からないので、校長先生に言えば何とか変わるかなとか思っちゃう。でも校長先生なんていうのは中間管理職であって、ほとんど権限を持っていなかったりするわけです。日本の教育政策が、どういう風に形成されるのかという仕組みを学び、日本全国でどういう教育の実践例があるかということを高校生・大学生のうちに加速度的に学んでおくということがすごく大事なんですけれども、今までその仕組みがなかったんですね。

だから、僕自身は「調和塾」という会を立ち上げて、年齢問わず一緒に学ぶという場をつくろうと思っています。コロナになって大学生の皆さんはオンラインの授業になりました。自分で大変な面もあるんだけれども、考えようによっては、これまでの人類の中でオンライン授業を受けてきた時間数で最大の世代なんです。僕はオンラインの授業をやる側だけれども、オンラインの授業を受けた経験というのは、僕は数100時間しかない。これから教育の世界では、ネット事業・オンライン授業の割合が必ず増えていきます。その時に一番重要となる「オンライン授業を受けた原体験」の経験値を一番多く持っている“第1期生”がこの世代なんです。その人たちから僕たちの世代は学ぶ必要がある。これまでの教育というのは、上の世代(年取った人)が下の世代(若い人)に教えるというモデルだったわけですが、コロナを機にそれが崩れた。ですから、年齢・世代関係なく、むしろ一番経験値の多い人たち・発想が豊かな人たちからみんなが学ぶという、ある「意味年齢で輪切りにする発想」から、僕たちは自由になる必要があるなというのをすごく思います。

―上野:今、本間先生が教育問題の中で一番目を付けていることは何ですか?

よくぞ聴いてくれました!よくぞ聴いてくれました!僕は今「国語4技能」っていうのを提案しているんですよ。「英語4技能」というのはよく聞くじゃないですか。「聞く」「話す」「読む」「書く」の4つの力のことを言いますけど。今までの英語教育は「読む」中心で、「話す」「聞く」のトレーニングがほとんどなかった。上野さんは、国語の授業で「話す」「聞く」の練習ってどのぐらいやった?

―あんまりしてないですし、「読む」だけでしたね。

授業中に先生が『そこに立って読んで』『そうじゃない、ちょっと読み方が違うぞ』なんていうのはあるかもしれないけれども。例えばスピーチの練習とか、一流の俳優さんが小説や物語を朗読するのを聴くなんていうのは、もすごく心豊かになる体験なわけですよ!実際に市原悦子さんとか竹下景子さんの朗読を聴いてみると、みんな感動するわけ。これを国語の授業でやったらいいじゃん!と本当に思います。

さっき“英語に苦手意識を持ってる”という話題になりましたけれども。これね、一つ仮説があって。日本人が英語に対して苦手意識を持っている一つの理由は、国語(日本語)に関する「話す」「聞く」のトレーニングあんまりない。例えば、英検2級の2次試験で『英語のスピーチして』と言われても、日本語でもスピーチなんてあんまりやったことがないですよね。それを英語でいきなりやるとなると、ハードルすごく上がってしまう。アメリカだとスピーチコミュニケーションという授業があって、例えば1分間スピーチをやるなんていうのを小学生からやっているわけですよ。総理大臣とアメリカの大統領、大統領候補と比べてどれだけスピーチ力が違うかっていうのは、そういう初等教育からの積み重ねがものすごく大きいんじゃないかなと僕は思っています。

だから「英語4技能」があるなら「国語4技能」をやろう。やっぱり母国語が思考能力に影響しますから。申し訳ないけど、放って置くとみんな「やばい」で終わっちゃうからね。スマホばかり使っていると、語彙力が下がっちゃう。読んで意味をわかったとしても、アクティブボキャブラリー(=自分が発信する語彙力)が貧困になるから。アウトプットするっていうトレーニングをいっぱいやる必要があるぞというふうに思っています。

―10代・20代の頃の自分に、最も伝えたいことはなんですか?

色々なことをやってるから当然、黒歴史とかもあるわけで…一番伝えたいことは、月並みなんですが「失敗を恐れるな!」になるわけです。ただね、『失敗を恐れずにチャレンジしたまえ!』って多くの人が言うじゃないですか。そういう無責任なことを言う人に限って『お前、何やってるんだよ!』って言って責めたりするわけ。“失敗”っていう言葉が好きな人はいないと思うんです。だから若かれし僕自身には、“失敗”っていう言葉を使うのをやめて、“未成功”という言葉があるぜ!というのを伝えたいかな。成功に至るまでのあらゆるチャレンジを“未成功”と呼ぼう、と。成功とまでは言えないかもしれないけれども、やっぱり今の時代、前向きにチャレンジする・トライするということが不可欠で、そのブレーキをかけるのが“失敗に対する恐れ”です。なので失敗という言葉を使わないで、成功に言葉を置き換えるだけで随分チャレンジにアクセルがふかせるんじゃないかなと僕は思っているんです。質の高い“未成功”を積み上げていくことが成功への道だ。このことを僕は10代・20代の自分に一番伝えたいかな。もっと挑戦してもよかったって思うからね。

ゲストプロフィール:
本間正人
京都芸術大学教授・副学長。NPO学習学協会代表理事。NPOハロードリーム実行委員会理事。1959年8月東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒業後、松下政経塾第三期生として入塾し、松下幸之助の経営哲学を学ぶ。ミネソタ大学大学院修了(成人教育学博士、Ph.D.;戦略プランニング修士号、Master of Planning取得)。米国Coach University 課程を修了し、国際コーチ連盟(ICF)認定プロフェッショナルコーチ(PCC)資格(日本人初)を取得。松下政経塾在塾中に、国際連合国際青年年(IYY)事務局、内外政策研究会(大来佐武郎会長(元外相)秘書)での実務研修を経験し、地球社会の未来を建設的に提言する「ローマ・クラブの21世紀版」を創ることをライフ・ワークとして志す。(社)日本ユネスコ協会連盟評議員などの国際交流活動を通じて、グローバルコミュニケーターとしての力を磨いた。NHK教育TVでビジネス英語の講師などを歴任。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です