【INTERVIEW】藤原雪さんin池袋西武オンライントークイベント(MC:稲葉哲治)【後編】

一般社団法人LIFE IS ROSEと西武池袋本店のコラボ企画『『日本の伝統文化篠笛の魅力と海外の反応』』オンライントークイベントより、フルーティスト/篠笛吹き・藤原雪さんのインタビュー【後編】をお送りします。MCは稲葉哲治さんが務めました。

藤原:「遠くの人を愛するのもいいけれど、その前にあなたの1番そばにいる人を大事にしなさい」というマザーテレサの言葉に出会ったんです。人見知りだった私が社交的になれたのはネパールのみんなのおかげなので「何か恩返ししたい!」って思ってたけど、私のやれることには限界があって…まずは近くにいる人から、音楽で元気づけていきたいって思ったんです。

―稲葉:まさに”恩送り”ですね。受けた恩を、また違う人に渡すってことはすごい大事です。そうやって繋がっていくものですからね。

なのでネパールにいたかと思えば、今度は日本で。私が好きなことは音楽ぐらいしかないので、引きこもりの方のところにお邪魔して「音楽一緒にやって楽しんでこう!」っていう活動をするようになったんです。引きこもってる方って、別に何か特別なことがあったわけじゃなくて。最初はなんとなくお家にこもっちゃうんです。でも逆を返せば、外に出ていけるきっかけも、ちょっとしたことでいいんですよ。だから、当事者の子たちと音楽ライブ行ったり、絵画美術展に絵画を見に行ったり、お花畑に行って花にとまるミツバチを見せて「今日も天気いいね」って一緒に言ったりしてるんですけど。 いま就職した子たちは『そういう時間が大事だった』って言うんですよね。

―そうですよね。引きこもり支援って、”外に出よう!”みたいなことじゃなくて、外の世界に通ずる窓をすこし開けてあげてあげながら、『いつか自分で歩き出す瞬間があるんだな』って自分自身に言い聞かせられる機会・未来の自分をどこか感じられるような機会だけ作っておけば、 あとは人ってどこかのタイミングで、歩きだせると思うんです。

本当にそうなんですよ。私も稲葉さんみたいにすっごい優しい大人のおかげで社会復帰できたので。『自分なんかが…』って思ってたけど、思ってるより世の中甘いし、思ってるより人って優しいんだなって、やっと思えたんです。だからね、本当に”お節介おばさん”なんですけど。今度は優しい大人たちのところに私が連れていきたいと思って。一回会わせたいんですよ!優しい大人たちに。「楽しいよ!この世悪いことだけじゃないぞ!」っていうとこね、見せていきたいなぁ。

―篠笛の話も伺っていきたいと思います。篠笛はご出身である山形県上山市の伝統文化なんですよね?

そうです。山形県上山市の無形文化財に指定されています。今から約150年前に戊辰戦争という徳川家と朝廷軍が戦いがあったんです。その際に徳川家に付いて、侍の気持ちを鼓舞するためにお囃子を吹いていたのが上山藩でした。そういった歴史はなくなってはいけないということで、昭和47年に文系文化財に指定されました。

―篠笛での演奏は、人を鼓舞したり、幸せを願う意味合いがあるんですよね。

元々は、神社で本納演奏させてもらった後に、お侍様たちの気持ちを鼓舞するために演奏させてもらっていたので、五穀豊穣・商売繁盛・健康をお祈りさせてもらいながら、演奏させてもらってます。

―地元の人はよく篠笛を吹かれるんですか?

それが勝手に悩みの種なんですけど…無形文化財って誇らしいことなのですが、地元の人たちはあんまり知らないんですよ。

―文化ってそういうもんなんですよね。地元の人は無関心だけど、外の人から見たら魅力的に見えるものだったりします。

そうなんですよ!東京には篠笛を吹きにたい人たち、いっぱいいるんですよね。だからコロナの前までは月1回篠笛教室をさせてもらってたんです。ちなみに篠笛は大きく分けると「舞台篠笛」と「古典篠笛」の2種類あって、無形文化財の笛は「古典篠笛」ですけど、「古典篠笛」は西洋音階に直せなくって。ドレミファソラシドが鳴らないんです。それが日本独特の懐かしいメロディーを生むんですよね。だけど文化を継承するって、大変なことじゃないですか。心から文化を理解して、熱意を持って継承する人がいないとどんどん絶滅してくんですよ。 今はもう北海道と山形と京都くらいしか残ってないと言われてるんです。それを守るのにもコストがかるので、山形も県からしっかりサポートしてもらっています。

―こういった文化は、お金をかけるだけの価値はあるんですよ、本当に。みんなそこを忘れちゃうけど…雪さんは、篠笛奏者であると同時にフルート奏者でもありますよね。日本音楽を西洋音楽を両方やってると、何かしらシナジーや影響があったりするものなんでしょうか?

よく聞いていただくんですけど、私あんまり普段考えてないんですよ。それこそ、五感で感じて生きてるんです。その時いいって思ったものはいいし、嫌なことは嫌だっていう風に生きてるんで。だからフルートも吹きたいし、篠笛も吹いてるのが楽しいからやってる。それだけなんですよね。

―そろそろ最後の質問です。雪さんが音楽を通じて社会に伝えたいことは何ですか?

「もう1人1人、そのままでいいんだよ!」ってことに気づいてほしくて、そう思ってほしくて。そして私も自分に対してそう思いたくて音楽やってるんですよね。だからもう”全集中”ならぬ”全肯定”。全員に対してなんて、もうそんなことできないので、目の前の1人1人のみと会話する気持ちで演奏させてもらってます。私、やっぱり今も不器用だし、すごい生きづらいので、楽器がないと生きていけないんですね。私にとって呼吸なんです。

―まさに呼吸するような感じで音楽に触れてきたんですよね。目の前の人とのコミュニケーションも、音楽を通してということですね。世の中変わっていく中で、雪さんがどういう音楽の発信の仕方をしていくのか、楽しみです。

嬉しい。不器用で、波乱万丈で、感性で生きてきた私だからこそ生まれることもあるのかなって思うので。これからも嫌なことはせず、やりたいことだけやって、好きな人とだけ会って、好きな花だけ愛でて、枠にとらわれずどんどん発信していきたいと思います。

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