【INTERVIEW】本間正人さんin池袋西武オンライントークイベント(MC:上野俊介さん)【前編】

一般社団法人LIFE IS ROSEと西武池袋本店のコラボ企画『五感で旅する世界旅行』オンライントークイベントより、本間正人さんのインタビュー【前編】をお送りします。MCは上野俊介さんが務めました。

―上野:本日のテーマは「若者よ、世界を見よ」「学びの楽しさって知ってる?100年時代を歩む私たちにお得な情報を伝授」ということで。教育のスペシャリスト・本間先生から学びを得る時間になればと思っています。経歴をみるとアクティブラーニング(Active Learning)に長年携わられていますね。アクティブラーニングという言葉自体が世間に広まったのは最近じゃないかなと思いますが、本間先生は既に25年間も実践されています。

本間:そもそも人間というのは、生まれながらにしてアクティブラーナー(Active Learner)なんです。今まで普通の学校教育があまりにも学生のアクティブラーナー度を下げる教育をやってきたと僕は思っています。だから、今更『アクティブラーナーを作る』なんていうのはちょっとおかしくて。赤ちゃんは色んなものを触ろうとしたり、口の中に入れようとする。これ、実は学習行動なんですね。

―生まれながら持っているものなのですね!哲学チックな印象がありますけど、そうではないと。

いや、哲学は哲学なんです。生物学では“ホモサピエンス”(=人間は考える存在である)経済学では“ホモエコノミクス”(=人間は経済学的合理性に基づいて行動する存在である)学習学では人間は“学ぶ存在”だし。人間をどういうふうに考えるかは、哲学そのものなので。僕は「人間は“学ぶ存在”だ」という立場で、学習学という理論を構築しようとしている、ということですよね。

―また本間さんは一般社団日本ユネスコ協会連盟評議員などグローバルコミュニティーに深く関わっていますね。

色んなことをやらせていただきました。国際交流は日本国内にいても出来るんですよ。国際交流っていうのは、国と国とがやるんじゃなくて、結局は人と人との関係なわけですね。国・地方自治体・NPOなど様々な受入事業もありますし、日本に住んでいる外国人の方の人口も確実に増えてるわけで。そういう方との交流というのも僕は重要なことだと思います。

今年(トークイベント当時)コロナ禍になりまして、様々なオンラインコミュニケーションをみんなが当たり前に使うようになって、そう思うと時差だけはどうしようもないけれども、世界のどこにいる人ともコミュニケーションが取れる時代になったな!地球の大きさが随分小さくなったぞ!という風に思うわけです。

先ほどトークイベントに登場した田口愛さんは、大学生にしてガーナにチョコレート工場を作っちゃってるんですよ!ガーナの村人たちは今まで、生産したカカオがチョコレートになるという事が分からなかったけれど、田口さんが『チョコレートってこんな美味しいんだ!』っていうのをガーナの人に伝えていらっしゃる。それを日本人の若い女性がやってるってのはすごいことだなと。田口さんのお話を感動しながら聴いていました。

―NHK教育テレビでは、ビジネス英語の講師を歴任されていますね。

帰国子女の方とか英語の発音が上手い人はいっぱいいるわけですよ。ただお気づきのように、日本語では結構早口でしゃべれるということで、英語の先生の中では日本語能力で評価していただきました。

日本人って英語に対して苦手意識を持っている人が多いじゃないですか?“苦手意識”というのは基本的に“練習不足”のことを言います。英語の先生が、英語嫌いにしちゃったらすごく勿体なくて。とりあえず嫌いにならなければ、『自分はこういうことがやりたい!』という目標が見えた時点から2000時間英語をやれば必ず使い物になります。それは建築の英語かもしれないし、幼児教育の英語かもしれない。でも『いつか何かわかんないけど、英語やっておかないと不安だ…』っていう弱い動機から英語を学習しても、あまり身につかない。だから焦らなくていいんですよ。

『英語の活用形が嫌だ!』とよく言いますが、でも例えばここに鉛筆があったとして、ちょっと順番に数えてほしいんですけど。1だったら1本(いっぽん)じゃないですか。2だったら2本(にほん)・3本(さんぼん)・4本(よんほん)・5本(ごほん)、6本(ろっぽん)…これ全部漢字で書けば“本”に見えるかもしれないけれども、読み方が違う。日本人だってこんなに難しいことを自然にやってるわけじゃない?これは人間がアクティブラーナーで、日本語を嫌いにならなくて、日本語との接触時間が長かったから、こんなにも複雑な日本語のルールを身につけることが出来るようになったわけだ。

人間の学習力って凄まじいわけですよ!だから嫌いにさえならなければ・苦手意識さえ持たなければ、難なくできるっていうふうに言っても決して過言ではない。教育者は『あの科目は、あの先生のおかげで嫌いになった』と言われないようにするのは、めちゃめちゃ重要だと僕は考えています。

―日本の教育問題に当事者意識を広げ、問題意識をもち、今まさに行動される本間先生さんですが、その原動力は何でしょう?

いくつかあると思うんですが、1つ目はやっぱり学ぶことは楽しいって僕自身が思っているし、それをみんなにお伝えしたいなって思うんですよ。“義務教育”という言葉は悲しい言葉で。本当は日本国憲法上、小中学校の学齢の子供を抱えている親御さんが、学校に子供を行かせる義務であって、子供たちは別に何の義務もないわけです。『学校に行かなきゃいけない…』と思って、虚ろな目をして学校に行くのはすごい勿体ないし、悲しいことだと思います。子供たちには義務がなく、むしろ学ぶ権利こそあるんだけれども、義務感で学校に通って、つまらない授業があって、忍耐力だけを養うという…これはあまりにも勿体なさ過ぎる。“教育”というものを“教育者中心の教育”ではなくて“学習者中心の学習”に切り替えていくということが、僕の中心的なテーマなので、ここに関してはもう当事者意識バリバリありますね。

ゲストプロフィール:
本間正人
京都芸術大学教授・副学長。NPO学習学協会代表理事。NPOハロードリーム実行委員会理事。1959年8月東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒業後、松下政経塾第三期生として入塾し、松下幸之助の経営哲学を学ぶ。ミネソタ大学大学院修了(成人教育学博士、Ph.D.;戦略プランニング修士号、Master of Planning取得)。米国Coach University 課程を修了し、国際コーチ連盟(ICF)認定プロフェッショナルコーチ(PCC)資格(日本人初)を取得。松下政経塾在塾中に、国際連合国際青年年(IYY)事務局、内外政策研究会(大来佐武郎会長(元外相)秘書)での実務研修を経験し、地球社会の未来を建設的に提言する「ローマ・クラブの21世紀版」を創ることをライフ・ワークとして志す。(社)日本ユネスコ協会連盟評議員などの国際交流活動を通じて、グローバルコミュニケーターとしての力を磨いた。NHK教育TVでビジネス英語の講師などを歴任。

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